作り手に同情せずにいられない、ジャンプ難易度調整。その２ #ユーリオンアイス #yurionice

前回：

saenishi.hatenablog.com

4T単独は必須だけど、4Sを跳べる選手はまだまだ少なかった（羽生君はフリーで4S決めてますね）。

の続きです。

「ユーリ」製作中だった2014年GPシリーズ当時、他の高難度ジャンプはどうなっていたか。

4Tは1988年にカート・ブラウニング選手が公式戦で成功。4Sは1999年にティモシー・ゲーブル選手が成功。しかし他のジャンプはなかなか成功者がいないままだった。

・4Lz
DG(ダウングレード)やUR(アンダーローテーション)といった回転不足なしで跳んだのは、2011年NHK杯のブランドン・ムロズ選手。ただしGOEは-1。
ルッツ得意なアダム・リッポン選手はずっとチャレンジしてて、2013年にはロシアのウラジスラフ・セズガノフ選手もカップオブニースで4Lzを降りてますが、これもGOE-1。

・4F
2010-2011にかけて、高橋大輔選手がずっとチャレンジしてました。が、ずっとDGやUR。2012-2015は公式試合では誰も挑戦せず。

・4Lo
ケビン・レイノルズ選手が2011、2012とチャレンジしましたがDG、UR。

この状況で、2年後あたりに放送されるフィギュアスケートアニメのジャンプ構成をどうするか考えてみると。
「リビングレジェンド・ヴィクトルが4T、4Sの他に、4F、4Lzを跳べる」
超真っ当じゃね？
4Loも跳べてもいいんだけど（作中ではエキシビションでのみ跳んだことになってる）、ループはフリップやルッツと違ってエッジ系ジャンプで回転不足になりやすいし、他より苦手なのって逆にリアルだと思う。

そんな中、まだ「ユーリ」製作中の2015年。事件が起こります。

ISU公式試合で4Lzが加点つきの形で認定！
2015年中国杯SPのボーヤン・ジン選手ですね。
っていうか、いきなり4Lz+3Tなんですけどもwww加点も1.29!
同フリーでは4Lz単独を跳んでますが、加点2.14!

もしかしたら2015年にボーヤンが4Lz降りてなかったら、ヴィクトルの代名詞は普通に4Lzだったかもしれない？

そしてさらに追い討ち(?)が続きます。

2016年4月。チームチャレンジカップで宇野昌磨選手が4Fに成功！
これ、改めて調べてみたら、4FをISU公式試合でチャレンジしてたのって大ちゃんだけなんだね…。高橋大輔にずっと憧れていた宇野君が初めて決めたのって胸熱…。

さらにさらに！

2016年9月。ジュニアGPスロベニア戦で、アレクセイ・クラスノジョン選手が4Lo着氷、ただしGOE-2.63。
そして、もう「ユーリ」放送直前。2016年10月1日（日本時間）に羽生選手がオータム・クラシックSPでGOE0.80プラスの4Loをとうとう降りました。

まるで放送を追いかけてくるかのような、リアルフィギュア界のジャンプ成功の嵐！

…ちなみに「ユーリ」放送中も嵐が続く。
4F+3Tを降りたのが2016年NHK杯のネイサン・チェン選手。
ちなみにこれ、4Lz+3Tの予定が4Lz単独になったのをリカバリーしたと思われます…リカバリーで世界初って何www
「ネイサン事件です」案件は止まらず。同じく放送中のGPファイナルフリーでは
4Lz+3T 4F 4T+2T+2Lo 4T 3Ax 3Lox 3F+3T 3Lz
クワド4回、GOE全てプラス！もう大体リビングレジェンド…

10年以上、新しいジャンプの成功者が出ていなかったというのにここ2年は一体…って感じですが、いやー「ユーリ」作り手のみなさんも苦笑しながら事態を見守っていたのではないでしょうか。

多分作り手としては「実際より少し上」を想定したんだと思う。でも、作中GPシリーズの結果が実際にも起こってもおかしくないジャンプレベルになったことは、少なくとも放送中の視聴者に取ってはこの上ないリアリティで楽しませてもらえました。
この絶妙さは、作り手のフィギュアスケートへの愛が起こした奇跡の一つだなと思います。

今後リアルフィギュア界はどうなるのかなー。4Aは想定範疇だけど5回転はしばらくなさそう？今の勢いからすると絶対ないとも言えない？
多分新しいジャンプよりは、セカンドに4回転つける方が先に来るでしょうな。
でもセカンドの4回転を競うって、もし「ユーリ」に二期があったとしてライト層に説明しにくそう！どうなるかなー。ザヤックに触れずに話を盛り上げられるのか？

とりあえず勇利は4A跳ばないとな！
ヴィクトルとサンクトで頑張ってください！