Dailyscape Fragments

フィギュアスケート/ユーリ!!! on ice/お笑い/ミステリの話など。ちらかっててごめん。

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公式練習客入れの弊害~J SPORTSのフィギュア解説を初めて観た:女子SP振り返り&公式練習編

前回の続きです。女子公式練習&SP振り返り。

ちなみに緑色の文字は私のつぶやきです。

 

●SP振り返り

赤平アナの振りが素晴らしく、以下太田さん解説の内容ながら半分ぐらい赤平アナの功績(笑)

リプ:スピンのGOEがオール+3。トリプルジャンプぐらいの加点になる(のが強み)
カロ:冒頭の3F+3Tが本当に素晴らしかった。太田さんが直接した話も紹介。


真央、全演技を見ながら。 
(ステップ中一旦静止して、両手を広げるところ)「ここの(音の)取りかたなんですよね…(うっとり)」
(ここ、前は手を広げるだけでしたが、会場全体に何か伝えるかのようにターンするようになりましたよね。私も大好きです!)
(最後のスピン前、フリーレッグを後ろに伸ばしてフェルマータで伸びる音とともにまっすぐ滑るところ)「右足の上げ方(フリーレッグがリズムを取る)はピアノの音に合わせてるんでしょうね(うっとり)」
「3A(の基礎点)がもう少し高く評価されていれば点差がもう少しついたのですけど」
もういろいろ同感!

あっこちゃん:本当に素晴らしかった。「本当はスタンディングオベーションしたかったけど、(記者席なので)できないねーと横の安藤選手と話していました」
GG:全て兼ね備えた選手。アメリカスケート界から(商業的事情からも)期待されている。
他、ポゴリラヤのトゥジャンプのつき方が素晴らしいこと、佳菜ちゃんはプログラム全体の印象はよかった(けどジャンプ回転不足があって残念な)ことなど。
有料放送だしあんまり書きすぎてもアレなのでこの辺で…(←もう遅くないか)

●公式練習の解説

こちらも滑走順の影響について言及。
(前回紹介した男子との重複は割愛します)
ちなみに予定ジャンプ構成を最初に表示してくれるので、どれをやった/やらなかったかもわかりやすい。

コストナーの演技がアーティスティックであることについて太田さん「(昔からなのかという質問に)昔はそうではなかったが、彼女曰くローリーに出会えたことで多くを学んだとのこと」
いい振り付けに出会うことで化ける、って本当に多いよね。
来期も奇跡の出会いがいっぱいあるといいなあ。

真央セカンド3Loについて。
「跳べる選手は数少ない」に加え、こんな説明も。
「セカンド3Tは少し1回目が歪んでも可能だが、3Loは(1本目で)本当に完璧な位置におりてこないと跳べない(だから難しい)」

一般的な話として、今のコンビネーションって基礎点上は単なる足し算だけど、難しい組み合わせはもう少し高くしたほうがいいよね。
セカンド3Loはもっと加点すべきだと思う!
ザヤックルール上、コンビセカンドの3回転は簡単なジャンプにつけがちなのも勿体ない気がするし。
アスリートのチャレンジを阻害するってどうなんだよと。

ちなみに今回、公式練習で観客を入れてました。
羽生選手目当ての若いファン中心に、ビギナーファンのマナーの悪さは話題になってましたが、この解説で更に気になることを言ってました。

選手が何もないところで転倒した時、氷が削れてしまっているという可能性の他に「または公式練習にお客さんを入れてるので少し力みがあるのかも」とのこと。

確かにそういうことがありそうですよね。
うーん。
観客がいるプレッシャー自体も練習できる、という捉え方もできなくはないですが、うーん。

また、真央ちゃんが曲かけで3Aを跳ばなかったことについて。
「(曲かけ中にやる必要がないのとは別に)公式練習でお客さんが入っていて、成功失敗に関わらず歓声があがることを気にしている可能性もある」

うーん。
やっぱり観客入れるって、ダメでしょう。
スケ連はお金を取れるところからはどんどん取ろうとしてるんだろうけど、選手達の競技に影響したら元も子もないよ。

 


次回は、競技の放送について。今回紹介した公式練習+SP振り返りは素晴らしかったけど、競技の放送についてはいろいろ難しさも感じました。


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J SPORTSのフィギュア解説を初めて観た:SP振り返り&公式練習編

世界フィギュア2014が3月に終わり、フィギュア界隈はアイスショーの話題で持ちきりな一方、CSのJ SPORTS 4では世界フィギュアの放映がありました。全選手放映!

フィギュアスケートは以前から好きだけど、ゆっくり観る時間はなかなか取れないこともあり、地上波放送を中心に視聴してました。
ただ今季は五輪があってどうしても関心が高く、また普段より少し時間に余裕があることから、3~4月だけのつもりでJ SPORTSに加入してます。

J SPORTSが気になっているけど、コストもかかるし*1、地上波よりもう少し観たい程度ならBSでやってるし…という人って他にもいるんじゃないかな。
ということで、初めてJ SPORTSのフィギュア番組を観た感想をちょっと書いてみます。

先に書いておきますが、JSports4での、今回(2014年)の世界フィギュアに関連した番組についてしか言及できません。以前のことはわかりませんし、今後、たとえば来年の世界フィギュアで同じ放送形態かははっきりしないことに注意してください。

まずは、フリー直前の公式練習&SP振り返り解説について。

実況は赤平大アナ。元テレビ東京フリーアナウンサー
解説は、男子は中庭健介くん。2011年に引退後、アスリート ジャーナルで競技の解説をしてますね。
女子は太田由季奈さん。フィギュアファンにはおなじみですが、最近興味を持って見だした方はそれほど知らないかな。2008年まで現役選手で、素晴らしい表現力で「氷上のバレリーナ」とうたわれた方です。

番組タイトルは「フリー直前公式練習」でしたが、前半は上位勢のSP解説でした。
地上波は
「さんかいてん、さんかいてん!」
だの
「着氷しました!」
だの、見ればわかりますがレベルの実況解説が多いので、大変ありがたい。

まず男子SP中庭解説。

ゆづ「いつもよりスピード感がなかった。6分練であまりいいジャンプを飛べなかったのが不安につながったのかもしれない」

ハビ「スペインの歴史を彼一人が塗り替え続けている」

まっちー「鳥肌がたつ美しさ、全て非の打ち所がないジャンプ。(ソチまでは)力みがあったが今回は力が抜け楽に滑っているように見える。厳しい練習の末に見えた表現。ステップシークエンスは力強いだけではなくひとつひとつのポーズや表情も素晴らしい」


トマシュは今季他の試合でも調子がよかったこと、

ハンヤンのスケーティングが素晴らしいこと、

こづが「トップアスリートで人間的にも素晴らし」く、バッチテスト8級に受かっていることなども。

中庭くん解説もさることながら、赤平アナが詳しい!

「我々素人にはこう見えるんですが」と視聴者目線での質問を解説に振る。
しかし
「ゴールド選手はコーチフランク・キャロルに振付のマリナ・ズエワとすごいバックアップで」「アンダーローテが二つあり得点が…」しっかり勉強してるのがわかる。

彼はJ SPORTSフィギュアスケート実況をやっていますが、かなりのフィギュアファンのようです。

2012/1/22の本人ブログより

ファン度合いは、
ジャンプの種類が見分けられるレベルですので、
『中の上』
だと思います。

 2013/11/15の本人ブログより

先日の仕事に
フィギュアスケートを技術的に学ぶ」
番組がありました。
(中略)
番組を見ても完璧には理解出来ていないので、
歩きながら、なんとなくステップやターンを真似て
暗記しようとしたりしてます。
「これが、カウンターで、これが、モホークで。。。」

 
こういう人が実況を手がけてくれるのってありがたいな。
某ポエムアナも見習ってほしいけどお年寄りだからもう無理かな…

もちろんJ SPORTSと地上波では、求められるものが多少違ってくるのだろうけど、いつか赤平アナ実況を生中継で観てみたい。

そして公式練習についての解説。
実際の練習映像を見ながら、公式練習一般の話についても説明してくれた。興味深かった内容をちょっとご紹介。

曲かけは滑走順に行われる。
曲かけが早い選手はジャンプは跳ばず全体の流れを確認することが多い。
前回失敗したところや気にしてるところは念入りにやっている。
曲中、コーチと相談してやることを決めることも。
(必ずしも、曲がかかっているから通そうというのではなく)心身に負担をかけすぎず本番に持っていくための調整をすることが求められる。
ジャンプは音がなくても練習できるがステップのような音に合わせる練習は曲かけでしかできない(ので、ステップは通す選手が多い)。
逆に後の方の曲かけの場合、ジャンプ練習はその前にやっておき曲かけで全体を確かめる。

で、気づいたこと。
つまり曲かけは滑走順に行うけど、それによって公式練習の仕方も変わってくるということだよね。
滑走順についてよく、グループの2~3番滑走が有利と言われる。これは、6分間練習で体を動かした後、少し休みつつ、練習での感触を忘れないうちに試合に臨めるからだと思っていた。
実は公式練習でも、最初や最後よりは中盤の滑走順が有利なのでは。
「体を少し動かして気になるジャンプを練習したあと、全体を確認する」
が一番効率がよい気がする。

実際どれがやりやすいかはまあ、選手にもよるんだろうな。
そして、何番目でも上手く本番に向けて調整すると能力が結局は求められると。

長くなったので、女子の話は次回。

 

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*1:スカパー加入の場合、フィギュアが見られるJ SPORTS 4を観るためにはJ SPORTS 1~4を含むパックを契約しなくてはならない。月額2469円以上。他のスポーツを観る人ならいいのだろうけど、フィギュア以外のスポーツに全く用事がな い人間にこの額はつらい

フィギュアスケート観戦の持ち物 おすすめグッズ

ワールド始まると、ぐちぐち言ってる暇はやはりないね。選手たちに夢中です。

なのでちょっと違う話を。


昨日世界選手権を観戦したので、友人たちにもいるビギナーファン向けにおすすめ持ち物をご紹介。


会場はさいたまスーパーアリーナ。ここは、でかい!

なので席によって事情が異なることも。

⚫︎防寒

氷のある会場ではありますが、400レベルだと一般的な劇場と変わらず。

ただ、人が増えて暑くなってくると逆に冷房が入ることあり。これが結構寒い…


全日本は200レベルで観戦したけど、もう少し涼しい。ただ、真冬のダウンコートはずっと着るには暑すぎて脱いでた。ひざ掛けの代わりに膝においてたけど。


つまりはコントロールできるのが大事。大きく分厚いひざ掛けより、薄手ひざ掛けと薄手上着が便利。あとカイロもコンパクトでいいですね。


ひざ掛けは会場にも売ってました。多分フィギュア会場限定の商品で1500円、フリース地でコンパクト。収納ケースもついているタイプ。確かに観戦時使いやすそう。

フィギュア関連として積極的にお金を落としたい!とお考えならこういうのを買うのもよいですね。

いやいや安く調達したいよ!と言う方は市販品の方が安いかな。ネット通販だと以下とか。

他の荷物もあるので、軽いフリース地、サイズは携帯用がオススメです。70x100くらい。極端に寒がりな方とかは大判が必要かもしれませんが。

 

⚫︎オペラグラス

オペラグラスも会場に売ってました。6倍のタイプで「選手の表情が見えます」と説明が。2000円でした。コンサート用のオペラグラスは3倍からありますが、さいたまスーパーアリーナは最大級の会場なので6倍程度を推奨ということですかね。

市販品だと以下とか。3倍だともう少しお手ごろです。

選手が演技している間は肉眼で見るのがお勧めですが、前後の様子や、リンクサイドでアップ中の選手の様子(場内映像も競技中の選手中心なので、映りません)、観客席で応援している選手や放送席など、結構使いますよ。

長時間の観戦では軽さも大事。また、ひざ掛け同様コンパクトさも重要です。安いからと重たくてかさばるの買うと大変ですよー。


⚫︎バッグ

荷物は自分の座席の下にしかおけません。そして、同じ列の人の出入りの際立ち上がることになる。つまり小さい方がベター。

近くのロッカーは埋まってしまうこともあるでしょうが、遠征の方は極力ロッカー利用がオススメです。


ちなみに公式プログラムはA4サイズ、折ることはできません。買う人は入れるスペースを。


観戦中の休憩時、全荷物持って移動は大変なので、必要なものが別に持てるよう小さめバッグもあるといいですね。


⚫︎ハンカチ!

あと、予想外だったのはトイレにハンドドライヤーがないこと(私が使った400レベルのトイレ)。ハンカチを忘れずに。

あと神演技の際の号泣時も必須です!


その他、様子などは後日書きまーす。

 

皆様楽しい観戦を!

 

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女子の3A基礎点は低すぎると思う、二、三の理由

女子シングルについて、思いが溢れてなかなか語れない。

浅田選手のフリーは、女子フィギュア史上最高の演技だった。

金メダル争いについては、いろんな人が語っているし今は割愛しよう。

 

ここでは女子のトリプルアクセル(3A)について書いてみる。

 

以前書いたように、3Aや4回転ジャンプの基礎点は高くなった。3Aは少しだけど。

そして回転不足判定が緩和された。

 

男子ではこれが、4回転時代を招いた。

みんな当たり前のように4回転を入れてくる。全体的にレベルがあがった。

五輪男子シングルでは、転倒を含むミスが多くなってしまったのは残念ではあるけれど、競技が進化していると感じる。

 

では、女子はどうだろう。

3Aにチャレンジした女子選手は一体何人いたのか。

 

…ご存じの通り、浅田選手だけ。

 なぜか?

 

簡単に思いつくのは「難しいジャンプだから誰も飛べない」

もしそうなのだとしたら、トリプルルッツに毛の生えた得点しか出ないのはもちろんおかしなことだ。

 

本当は違うと思うんだ。

 

浅田選手が3Aを跳ぶようになったのは、先輩選手たちが練習していたから。

今は引退してしまったけど、中野選手だって跳んでいた。

全米ではキミーマイズナー選手が跳んでたし、練習レベルではチャレンジしている選手はたくさんいるはず。

 

でも今、トップ選手ですら、試合で誰も跳ばない。

 

五輪開催国ロシアは、国をあげてメダルを獲るべく取り組んできた。

金メダルをとったソトニコワ選手、団体金メダルに貢献したリプニツカヤ選手をはじめ、GPFに出たパゴリラヤ選手、ラジオノワ選手、そしてジュニア勢まで入れたら、本当に恐ろしいほどの選手層。

そこには選手たちやそれを支援する人たちの並々ならぬ苦労があっただろう。

でも、まだ誰も国際試合でトリプルアクセルは跳ばない。

 

正直、彼女らがその気で練習したら何人かは跳べるんじゃないかと思う。

これはつまり、チャレンジさせてないんだよね。

割に合わないから。

今の採点基準では苦労の割に報われないから。

 

「スポーツ」って何かもう一度考えてみようよ。

最高難度のジャンプを跳べるのに、点が出ないから跳ばないってなんなの。

 

この構造は、3Aほどじゃないけど、コンビネーションのセカンドにトリプルループをつける場合(以下セカンド3ループ)にも通じる。

 

セカンド3ループは、ソトニコワ選手やアメリカのレイチェル・フラット選手(引退してしまったけど)も跳んでた。

ただ、試合でクリーンだと認められることが、最近のルールだとなかなかない。

ソトニコワ選手も五輪での構成に入れていない。

 

回転不足判定をするなとは言わない。

無理な姿勢での着氷と、きちんと回転している着氷は区別するべきだ。

でも、その結果誰も跳ばなくなっていることは問題視するべきじゃないのか。

 

浅田選手は挑んだ。

採点がどうとかではなく「自分ができる最高難度を見せたい」から。

これぞ真のアスリート。

 

普通の選手は、採点を気にする。これは当たり前のこと。

採点で報われるのが当たり前のこと。

 

今の採点では、女子選手は3Aもセカンド3ループも跳ばない。

これでいいの?

 

フィギュアスケートは、本当にスポーツですか。

 

町田樹選手に期待したい、もう一つの未来。続き。

五輪選手に「試合以外ではどんな風に過ごしたいですか?」って聞いたら普通「選手村の食事を楽しみたい」「開会式・閉会式が楽しみ」とかだよね。普通。
しかし町田選手は五輪に向けてこんなことを言ってた。

 

世界最大のイベントといえる五輪の運営、進行、マネジメントの仕方に興味がある 

 

 フィギュア町田が狙うメダル以外の“もう一つの野望” | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社


トップスケーターの大半は、生活の大半をスケートに捧げている。
そして、若い。
だから見えている世界がちょっと狭いのかなって思うことがあるんだよね。
将来って言われたとき、プロスケーターか指導者か…と自分が関わる範疇が中心になりがちなんじゃないか。

 町田選手は、少し違う世界が見えている。

将来は「フィギュアスケートの裏方の仕事に興味がある」と、振り付けやショーの総合演出に携わる夢がある。 

 

 “最初で最後の五輪”町田5位「将来は裏方の仕事」 | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社


是非、総合演出やってほしいな!
そのためにも、今の「ビジネス」への関心を持ち続けてほしい。

スター選手がたくさんいる日本では、逆に言えばプロスケーターもどんどん増えていく。
せっかくだからアイスショー文化ももっと育ってほしい。いろんなコンセプトのショーを見てみたいです。

あ!まずは現役生活をまだまだお願いしたい。
ワールドでは、メダルもあり得るはず!
っていうかスポンサーついて、続けてくれないかな…町田選手はPCSがまだまだ伸びそうなのに。
素晴らしいプログラムが一つでも多く観られるのを、まずは祈りたい。

町田樹選手に期待したい、もう一つの未来。

町田選手は、来季限りで競技引退を表明してますね。寂しい!
町田樹5位 来季限りで第一線退く見通し - フィギュア - ソチ五輪2014

もともと今シーズン前半から」五輪は今回が最初で最後」と言ってて、理由としては「次の平昌五輪の頃はもう若手が伸びてきてるから」だった。
これはこれでわかる。
でも、違う事情もありそう。

母、祖母の思い胸に=支えられた町田選手〔五輪・フィギュア〕 (時事通信) - Yahoo!ニュース

より。

 町田選手が大学2年の時に、今度は弥生さんが病気になり、1カ月以上入院した。母の苦労を知っていた町田選手は「僕が賞金を稼ぐし、アイスショーに出演できるように頑張るから、仕事はもう一つにして大丈夫だよ」と言ってきた。

CMの仕事が入るような一握りのスター選手以外は、競技を続けるコストは大きな課題なんだろうな。五輪入賞で、少しでも続けやすくなるといいなあ。


できる限り長く現役で活躍する姿を見たいけど、彼には、引退後の活動にも大変期待してます。

読者家ぶり

彼が読書家なのはよく報じられてるよね。
そもそもSP「エデンの東」は、映画ではなく、スタインベックの小説の方が原案。
インタビュー 町田 樹|キヤノン・ワールドフィギュアスケートウェブ

によれば、

小説の精読に時間がかかり、そのコンセプトを自分のなかで解釈するのに1年使いました

ここまでしてるから「ティムシェル」が出てきたわけだね。
参考:

町田樹“氷上の哲学者”の言葉を聞け (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース


五輪で彼を初めて知った人は残念ながら見る機会がなかったと思うんだけど、今季のエキシビションナンバーは東野圭吾白夜行』がテーマ。手を真っ赤に染めるこだわりぶり。
クリスマスシーズンに開催された全日本選手権エキシビションが最後でした。
#なんと機材トラブルで放送されなかった!フジテレビ一回死n(ry

そして言動からして、文学だけじゃなくてビジネス書も読んでると思う。これは明言されてるソースは見たことないので推測ですが。


自分の売り込み方

今季の五輪代表候補、男子は6強の戦いだった。

その中で、シーズン始め時点では町田選手は「五輪に一番遠いところにいる」と言い、失礼ながら実際キャリア的にはその通りだった。
その後GPシリーズでは快進撃を見せた。それはもちろん実力があってできたこと。
ただ、それだけじゃなかった。
試合で優勝し、インタビューなどでメディアに載るチャンスを最大限生かした。

真面目で朴訥なイメージだったから、最初はびっくりしたなー。

強気な発言で自身を鼓舞し、それがメディアに使われることで追い込む。
自分のプログラムへの思いを、語彙を駆使して語ることでキャラクターを出し、記事が大きく扱われる。
海外で過ごし、欧米文化に触れたのも大きかったのかもしれない。
いつしか、インタビュワーに促されなくとも最後は、カメラ目線でメッセージを投げかけてくるようになった。

どの位計算していたかはわからないところもあるけど、かなり戦略的にメディア対応をしてた。
慣れてきた後半は、多分、見出しになんて載せてほしいか意識してたんじゃないかな。

結果「氷上の哲学者」と呼ばれるほど世間にアピールした。

フィギュア選手にとって、知名度は大切。
応援してくれる人が増える、というのはもちろんあるけど、世論として五輪代表として認めてもらうことにつながったんじゃないかな。
彼は文句無しの成績で五輪への出場権を手に入れた。でも彼がもしGPシリーズ中のインタビューで平凡な受け答えをしていたら、全日本で「町田って誰?それより○○選手がよかった」みたいに言われかねない(実際、全然言われてなくはなかったかもだけど)
また、大学卒業後スポンサー企業がついてくれるかにも関わる。

そして引退後の仕事にもつながる。
たくさんのスター選手がいる中、アイスショーに呼ばれるには、実力はもちろん大事だけど知名度は必須。

今後、彼のやり方を参考にするスケーターが出てくるかも。

 

話が途中なんだけど、長くなってしまったので続く。

ソチ五輪 男子シングルを終えて

選手達の熱意溢れる演技にうたれて、今はもう点数とかわりとどうでもよくなっていた。
一晩経った今、少し振り返ってみる。

私にとっては、高橋選手の演技はショートもフリーも、かけがえのない宝物になりました。
相対的な点数はもはや何の意味も持たない。
彼の実力からしたらもっと凄いものを見せたかったに違いないけれど、競技を超越した崇高な演技でした。

羽生選手の金メダル、本当に祝福したい。
しかも、まだ伸びる気満々。末恐ろしく、頼もしい。
今までの金メダリストって、鼻高々!どうだえらいだろう!って態度だったと思うし、もちろんそうするに値する。
その中、羽生選手の異質さは世界にも驚きを与えているのではないかと思う。
もちろんミスは多かった。
そこを不満とする人はいて、誰より彼が不満なのだろうけれど、大丈夫。
彼がノーミスで、会心の演技をする日はそう遠くない。
そして平昌で、きっと見られる。
神様が今後の楽しみに、取っておいてくれてるのだと思う。

ただ、メディアが羽生金メダルに沸いてて、高橋選手の崇高な演技を流す暇がないのだけは少し残念です。
高橋選手の演技は、普段全然フィギュアに興味がない人にこそ見てほしいなと思っているから。

町田選手は、シーズン当初からずっと自分を鼓舞し続けてきた。
本当はとてもナイーブなんだけど、そこを見せまいとする振る舞い。
そして自分をどう世間にアピールするかについて真剣に取り組む様は、フィギュアを超えての注目に値する。これ長くなるから今度ゆっくり書く。
オリンピックの魔物との戦いは激しく、本領を発揮しきれなかったところはあるけれど、5位という成果を残せたのは本当によかった。
エデンの東」も「火の鳥」も気持ちの伝わってくる演技でした。

今回、選手のミスが多かったのは、いろんな要因があったと思う。
氷が柔らかかったこととか。
銅メダルに届きそうな選手達が多く、それ故にどうしても緊張してしまったこととか。
でも、4回転に挑戦してきた選手が多かったことも要因としてありそうだ。

バンクーバー以降、4回転を飛ぶことが有利な配点になった。
もちろん選手達はそれぞれ、できる限りの準備を重ねてきた。
それでも、成功条件が繊細な4回転ジャンプはメンタルコントロールが成功を大きく左右する。
そして冒頭の大技として持ってきているから、成否がその後の演技の精細にも大きく関わる。

4回転ジャンプのミスにもいろいろある。
羽生選手がフリー冒頭で失敗した4Sは、回転は足りたと判定された。
基礎点10.50が有効。だから転倒によるGOE(できばえ)減点は-3点あるけど、
7.50点がもらえている(厳密には、点数全体から転倒による減点-1があるけど)
高橋選手の冒頭4Tは、両足着氷したけど回転が足りていないと判定されたので基礎点は4.10。 GOEで-2.00の結果、2.10しかもらえていない。
認定されるかどうかで点数も変わってくる。

もちろん4回転をちゃんと決めてきた選手も多い。
でも、逆に言えばそれだけ4回転に練習時間を割いてきたということ。
他の要素を安定させる時間を少なくしてきたということなのかもしれない。

ショートでアクシデントに見舞われたジェレミー・アボット選手。本当に不運だったし、フリーでのコンディションは悪かった。
おそらく最初から4回転を諦め、できる構成でまとめてきたことで、演技に集中できていたのではないかと思う。
4回転を飛ばなかったけれどフリーでは8位だった。
この事実は、今後の選手の戦略を左右してくるかもしれないなあ。

つまりバンクーバー後、4回転が重視されるようになったことは、逆に言うと演技全体の完成度が下がることが容認された面もある。
難しいね。

でも。
フィギュアスケートが「スポーツ」である以上、今の採点の方がいいんじゃないかな。

確実に成功しなければ点数が低くなるとわかっていても、4回転を飛んできた高橋選手が私は好きだ。